第268章

川崎正弘は我に返ると玄関を見やった。野呂栞の姿は、もうどこにもない。

まだ少し、夢の中にいるみたいだった。

川崎正弘は丹羽光世を見て、次に島宮奈々未を見る。

「さっき……俺、告白されたのか?」

三十年以上生きてきて、女に告白されたのは初めてだ。

いや、正確に言えば――あんな女山賊みたいなやり方で、これは告白というより通達だろ。

丹羽光世と島宮奈々未はそろって頷き、声までそろえる。

「告白されたわね」「ちゃんと聞こえてたわよ」

夫婦そろって、面白がっているだけだ。

川崎正弘は今度は夏目冬馬と夏目秋生を見た。

「お前らも聞いてたのか?」

兄弟は当然のように頷く。

夏目冬馬...

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